8月17日(日)

 


 今日はショットガンゲーム(SGG)の日。八郎潟から参戦すべく、そそくさとキャンプ地を出発した。あまり早起きできなかったことに後悔。前日分の最後に書いた通り、昼ごろまでには釣らなくてはならないのだ。時間がない。

 最近調子の悪い八郎潟の中よりも流入河川のほうが良いのではと判断。Baチームとショップ店員に薦められた三種川の上流へ向かった。

 ポイント周辺で水辺までの道が判らず時間がかかり、それらしい場所に着いたのは8時を過ぎていた。その橋脚の対岸にはバサー車があったのでこのあたりだと確信。川を覗いてみたらフローターがいたので、いざ釣行。

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朝から快晴。

気分は良いのだが、こんなに日差しが強くては釣りにくい。

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三種川上流のあやしいポイント。

ここまでたどり着くまでにあちこち走りまわった。近づく道路が地図になかったのだ。

フローターが浮いていたが釣れていない様子。
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さらにあやしいポイント。バリバリ藪こぎしてたどり着いた。

教えてもらった通りあやしいのだが、水が濁っていた。

場所はこのあたり
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帰り際、高速道路の橋脚の深みでNyがスピナベでバラした。

たぶんいるのだが、小さいらしい。

さっぱりダメなので移動。
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田んぼの農薬散布のラジコンヘリ。

見事な操作に、ついつい見とれてしまった。

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次は三種川の河口。ここもBaチームから薦められていたポイント。

雲りがちのちょうどいい天気になってきた。

場所はこのあたり
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河口からすぐ西側にあるあやしいポイント。Ba氏が強調して薦めていた。

小さな流れ込みらしいが、この時は流れていなかった。

それでもアシ際やゴミの下などあやしさがプンプン臭う。
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ほら、いた!

風が強くてキャストしにくかったが、ちょうどうまくアシのヘコミに落ちたら釣れた。

ここにきてやっと釣れたからうれしかった。
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SGG登録用に撮影。33.6cmで申請した。

今回のリアルターゲットは「花火」だったのでコンビニで線香花火を買っておいた。これが一番分かり易く持ち運びやすかった。
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ゲリヤマ・4inchグラブ、ノーシンカー。

別のワームの色がにじんでヘンな色になっていた。
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続いて、ゴロタの岸近くにウィード(水草)が点在するところ。

ウィードの隙間を通す。

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2尾目。30cm弱。

ウィードまわりは釣れるのだが、サイズがいまいち。
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河口のバラ葦エリア。

浮いている藻のそばにワームを落とすと・・・
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3尾目。ちょっといいサイズ。

藻の下のシェード(日影)に隠れていたらしい。
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SGGメジャーで計測してみると、36.7cm。サイズアップに成功!

このサイズで申請し直した。

バッドタイミングでジャマが入ったので撮影に手間取ったが。


 ここからバッドタイミングな話。
(長い話なので興味がなければ次の画像へジャンプしてください)

 ちょうどこのバスを釣り上げた瞬間に車がやって来た。河口の堤防のすぐそばに車を停められるから、水際にいても車が見えるのだ。その車からはどうみても場違いな中年男性2人が降りてきた。なぜだか、ボクはとっさにその2人組が何者なのかを直感的に理解した。

 八郎潟のある秋田県は今年4月からブラックバスのリリース禁止条例ができた。正しくは「秋田県内水面漁場管理委員会指示第1号」という。要は、ブラックバスやブルーギルを釣ったら、持ち帰って食べるなり、殺して廃棄するなりして、駆除に協力してくれということ。「リリ禁」と呼ばれて、その是非や対応に関してあちこちで議論が続いている。外来魚の害魚問題は駆除派・擁護派ともに多種多様な意見があって、ボク自身は明快な答えを見い出せていない。

 明快な答えはないが、ボクにはたくさんの疑問がある。たぶんバスフィッシング愛好家の偏った見方なのだろうが、疑問があるから納得できない。

 違法放流した人の責任をどうして赤の他人が負わなくてはならないのか、外来魚類のうちどうしてブラックバスばかりが嫌われるのか、八郎潟の生態系への影響(漁業目的種の魚類の減少)の原因が明確でないのにどうしてブラックバスが特定されるのか、漁業者の生活に支障が出ているらしいがそれを裏付けるものは見当たらないのにどうしてブラックバス増加が原因とされるのか、駆除に協力してくれると見込んでいる釣り人を減らすだけなのにリリース禁止によってどうしてブラックバス生息域の拡大を抑制できるか…など。

 感情的にいえば、楽しく遊んでくれるブラックバスたちをむやみに殺したくない。もっと端的にいえば、廃棄するのも持ち帰って料理するのも面倒なのだ。「釣りあげたらここに入れてください」と書かれた駆除ボックスや生簀が設置されていれば、あまり積極的でないにしろ釣ったバスを入れてもいいかと考えていた。

 話を戻そう。その2人組はリリ禁の「啓発のための巡回指導」なのだ。ちょうど手にバスを持っているボクを目ざとく見つけ、やけに馴れ馴れしく話しかけてきた。「大きいのが釣れましたねぇ」「どちらから来ましたか?」「どのくらいの日程ですか?」「八郎潟にはよく来るんですか?」「ブラックバスはどのくらい釣れましたか?」。

 嫌悪の態度をあからさまに表に出すのは大人気ないので、無表情にそして事務的に対応した。会話をしている最中もボクはバスを持ったまま。こちらは早いとこ撮影と計測を済ませてリリースしたいのだが、2人組がずっといるために何もできない。仕方なくゆっくりだらだらと計測しながら答えた。風が強くてSGGメジャーが動いてしまい、計測状態の撮影ができないでイライラした。

 そのうち2人組はパンフレットと袋をボクらに手渡して「ブラックバスの再放流禁止にご協力ください」と、やっと本題を口に出した。事情がよくわかっているボクは「はあ…」とだけ。

 パンフレットにはブラックバスの料理方法が書かれてあった。そのパンフレットを読んだNyが、よせばいいのに余計なことを口に出した。「バスを食べるんですか?」。すると2人組は「食べるとおいしいんですよ。そこに料理方法が載ってますから。よろしくお願いしますね」。ボクは早く立ち去って欲しいと思いながら下を向いて「そうですか…」とだけ答えた。そして2人組はやっと帰っていった。

 ボクは姿が見えなくなると同時に撮影を済ませて、そのバスをリリースした。「漁業法違反」をしたわけだ。場合によっては「懲役1年以下若しくは50万円以下の罰金が科せられる」可能性もある。だが、そんなことは重々承知の上ではるばる東京からやって来たのだ。

 仕事とはいえ日曜日の午前中に巡回指導なんて、自分だったら絶対に担当したくない仕事だ。楽しんでいる行為にケチをつけられて、手放しで協力する人なんていない。バサーには血気盛んな若者が多いから、ヘタをすれば逆切れして反抗されかねない。いくら条例だか指示だかで決まったこととはいえ、納得できない人たちに「啓発の指導」なんてしたくないのが普通だろう。そう考えると、あの2人組が可哀相に思えた。

八郎潟リリ禁問題に興味のある方は以下のリンクを参照してください。

秋田県オフィシャル「美の国あきたネット
秋田県農林水産部水産漁港課
ブラックバス等外来魚に対する対応について(県の考えがわかり易い)
秋田県内水面漁場管理委員会指示第1号
外来魚関係 Q&A

八郎潟のバスフィッシング擁護派の中心「特定非営利活動法人ヘブン
ヘブンが提出した要望書に対する県からの回答
NBCチャプター秋田のリリ禁対応

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巡回指導の人から手渡された回収ポリ袋と料理方法パンフレット。

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回収ポリ袋のアップ。

炭酸カルシウム入りのよくある「○○指定ごみ袋」と同じ。
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バスの料理方法が書かれたパンフレット。

体にいいらしい。
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フライ、唐揚げ、甘酢あんかけ、ムニエル、南蛮漬け。こんなレシピが書かれてあった。

※これらの画像のフルサイズ版が欲しい方は、左メニューからメールください。
(関係者とか興味ある人はこういう資料が欲しいかもと思って)


 この河口は魚影が濃いらしい。しばらく粘れば釣れたかもしれないが、Nyにも釣れたし、なんとなくこの場所に飽きたので移動した。

 八郎潟の東部承水路に沿って南下。河口とウィードがキモと判断して、残存湖(八郎潟調整池)の東側にいくつもある流入河川へ。

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妹川(たぶん)の河口。

ウィードたっぷり。でもあまり良いタイプの水草じゃなさそう。

それでもしばらく水草の隙間を狙った。
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かろうじて25cmほどのコバスが釣れた。

ここでタイムアップ。納竿。

【本日の釣果】
三種川上流…0尾
三種川河口…3尾
妹川?河口…1尾


 電車の時間が迫っていた。Nyのもつノートパソコンにデジカメのデータを転送。SGGへの画像のアップロードはNyに任せた。

 国道へ出て、秋田市へ。市街地の渋滞を抜けて、秋田駅の目の前に着いたのは、電車の出発時刻のギリギリだった。Nyを車から降ろし、再び市街地を走っているうちに道を間違えて迷ってしまった。そんなときにNyから携帯メール。かろうじて電車に間に合ったらしい。これで一安心。

 住宅街を抜けて、なんとか思い通りの道へ出ると安心。慌てることがないのでゆっくり八郎潟方面へ。途中、国道沿いのカジュアル洋服店へ立ち寄り。夜の寒さが堪えるので、暖かそうな上着を探した。すると680円でフリースのジャケットが売っていた。季節外れの売り残り品らしい。どうせキャンプ地で着れば汚れてしまうので、色やスタイルよりも安く暖かく過ごせればいいのだ。

 暗いキャンプ地へ戻ると、すっかりテントが減って静かだった。お盆休みが終わった日曜の夜。普通のキャンパーは帰るのが当たり前だろう。ボク以外にテントは2張りだけ。大きなタープにテーブルなどの設備が整い、ハンモックで昼寝したりダラダラ過ごしているグループ。そして、島根ナンバーのオフロードバイクに乗った坊主頭の男性1人。

 坊主のライダーはボクらより2-3日後からこのキャンプ地にいて、昼間はテント前で本を読んだり小さなウクレレのような楽器を弾いたりしていて、なんとなく存在が気になっていた。

 その坊主ライダーのテント場所が移動していたのだ。いつもの場所(ボクのテントの正面)からいなくなっていたのでキャンプ地を出たのかと思ったら、ほんの30mほど移動して、ボクのテントのナナメ前に移っていた。

 ちょうどその夜、偶然にも炊事場で遭ったので坊主ライダーに声をかけた。何日もお互いの存在は知っていたのに、やっと話す機会ができた。テントを移動したのは違った風景が見える場所で過ごしたかったから。弾いているのは「三線(サンシン)」という沖縄楽器を模した手作り。昼間のんびり過ごして、出かけるのは近隣のスーパーで安い食材を探しに行っているだけ。

 なんだか、気の合いそうな人だった。明日の夜いっしょに飲む約束をした。久しぶりのアルコールだ。


【翌日へ】

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