2005年6月18日(土)-19日(日)
スモールマウスバス遠征-桧原湖小野川湖フローター
福島県・裏磐梯エリア 宿泊:いかり潟キャンプ場



前説をとばして当日の話はここから

 毎年恒例のフロートチューブ(フローター)でのスモールマウスバス(以下スモール)釣行。この企画にオレは3回目の参加だが、主要メンバーはスタイルや場所を変えて8年くらい続いているらしい。桧原湖のスモール狙いの釣行自体、オレは他の人たちとも行っているので計5回目。

 実釣以外でもいろんな情報(例えば「裏磐梯バスフィッシング情報」とか)に触れて学習してきたから、それなりにスモール釣りについては知識を持ってると思っているのだが、気候や季節の移ろいによる変化は現地に行ってみないと判らないことが多い。そのため決行時期の選定は慎重になる。

 メンバーは多忙な方々が多いので、4月に入る前から丸儲け氏を中心に日程調整が行われた。

 スモールはラージマウスバスと違って広範囲に回遊しているため、ポイントを絞っての釣りがしにくいが、スポーニング(産卵行動)の時期は浅瀬(シャローエリア)に集まってくるため狙いやすくなる。スモールは表面水温が16℃以上で、かつ水位が安定することがスポーニングに必要な条件らしい。

 なので桧原湖では例年、5月下旬から6月上旬くらいまでがスポーニングシーズンだ。そのころになると、ボートバサー(ボートに乗ってバスを狙う釣り人)がシャローの多い「イカリ潟」周辺に集まってくる。それは、スポーニングベッド(産卵巣:ネスト)にいるスモールを目視して狙う釣り(サイトフィッシング)によって、大型のスモールを狙えるからだ。ボートからは視点が高いので水中が見えやすい。

 また、イカリ潟は奥まっているので水温が上がりやすいため広い桧原湖の中で一番はじめにスポーニングがはじまること、スポーニングは大型の個体からはじまること、これらの点からもこの時期はイカリ潟での大型のスモールが狙いやすい。

 桧原湖は水質がクリアなので、偏光サングラスがあればシャローのネストはよく見える。そこにいる産卵前の大型のメスを狙ったり、産卵後の魚卵を守って居座るオスを狙ったりできる。ネストのスモールはエサを捕ったりしないため食性によるルアーやワームに反応することはない。しかし魚卵を守るために、外敵を排除する目的でルアーやワームに食いつくことがある。釣りにくいが、しつこく巧く狙えば見て釣れるのだ。

 しかし、抱卵中のメスを釣り上げてしまうと正常に産卵できなかったり、オスを釣り上げてしまうと魚卵が他の魚に食べられてしまうことがあるらしい。

 実際にオレは、釣られたオスがすぐに元のネストに戻るか、ずっと観察していたことがある。釣られたオスがネストに戻ってくるまでの1-2分の間に、どこかで見ていたかのようにギルとウグイがやってきて、バクバクバクッと砂煙を上げてスモールの魚卵を食べていた。戻ってきたオスは急いで追い払うが、すでに大半の魚卵は食べられたようだった。そんな光景を目の前で見て以来、ネストのスモールを釣っても気分的に「楽しくない」から、ネスト狙いは避けるようにしている。

 丸儲け氏たちフローターメンバーはここ数年「いかり潟キャンプ場」を宿泊地としている。何度も試行錯誤してきた結果だ。イカリ潟が近いこと、静かでロケーションが良いこと、夜のフローティングがしやすいことなどがその理由。

 だが上記のことから、このエリアはスポーニングの真っ最中にネスト狙いのボートバサーが集まって混雑してしまう反面もある。オレが参加した2003年は6月5-6日、2004年は6月7-8日だったが、どちらもスポーニング後半の時期にあたり、1年で一番釣り人が多いピークの週末だった。

 そこで今回は少し時期をズラそうということになった。スポーニング直前はシャローに大型のバスが集まってきて絶好のタイミングだが、まだ水温が低いために、半身が水に浸かるフローターでは冷たくて浮いているのが辛くなる。スポーニング後はスモールがシャローを離れて広範囲に散ってしまい、フローターでは釣りにくくなる。が、昨年7月上旬のボート釣行でスポーニング後なのにイカリ潟周辺で数釣りができたと証明したこともあり、それでも恒例の時期を大きく外す訳にもいかない。むずかしい。

 そんな訳で、釣り侍氏が用意したメンバー限定の掲示板上でやりとりをして、今年の釣行は6月18-19日の土日に決まった。スポーニングがちょうど終わる時期、人が減りつつある時期を想定した日付だった。

 日程が決まれば道具の準備。暑さ対策(水上にいる時間が長いので強い日差しを避けるため)の麦わら帽子や、新作のセミルアーを買った。TIEMCOのトリックトラウト・シケイダーII・バスチューンの「相羽スモール」カラー。このルアーは、スモール釣行の前週にロストしてまた買った、いわくつきのルアーだ。

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キャスティングで買った、カウボーイハット風になる麦わら帽子と、セミルアー。

ルアーの片方は丸儲け氏に頼まれた分(桧原湖カラー)。
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ロストして買い直したセミルアー。
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トラウト用セミルアーと違って、バス用はフロントフックがシーソーのように2つ付いて、フッキングしやすくなっている。

 キャンプ場のロッジも予約して、あとは行くだけとなったが、どうも気候が例年通りではないらしいことがわかった。いろんなWebサイトの情報によると、天気の悪い日が多くて水温が上がらず、6月に入ってもネストが見られないらしい。

 釣り仲間のbabi氏たちが6月4-5日の週末に、ボート釣行した結果を教えてもらった。1泊2日でエレキ(電動モータースクリュー)付きレンタルボートでイカリ潟を中心にあちこち周って、スモール釣行の経験のある男3人で、なんと計4尾。

 これは実に渋い結果だった。話によると周りの他のバサーも釣れていなかったらしい。それは水温が低くてスポーニングがはじまっておらず、スモールたちはディープエリアからシャローに上がってきていなかった可能性が高い。

 そして出発の少し前の情報では、急に天候が良くなって水温が上がり、スポーニングシーズンに突入した。

 つまり、あえて時期を遅らせたオレたちの釣行日が、季節の遅れのせいでスポーニング真っ最中になってしまったのだ。自然相手の遊びはこういう予測できないことがある。それがまた楽しいのだが。

 さらに予定変更。はじめ6人いたメンバーだが、休みの都合などで人数が減って、最終的にオレと丸儲け氏と釣り侍氏の3人になった。あとで思えば、荷物を満載した車1台なのでちょうど良い人数だったのかもしれない。

 心配した天気だが、梅雨入りしていたにも関わらず、見事に土日は雨の心配はなさそうだった。ありがたい。

 さて当日。予定通り、2人が乗った丸儲け号がオレ宅に迎えに来た。荷物を積み込んで、1:00頃に出発。練馬から外環道を経由して東北道を北上し、福島へ。

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深夜、丸儲け号の車内より。

外環道から東北道。

北上して福島へ。
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未明。

裏磐梯エリアは深い霧に包まれていた。

 過去2年とも、土曜午前は小野川湖で釣行している。1泊2日全部を桧原湖で釣行するのではなく、とくに宿の制約のない土曜午前は、以前からいろんな場所を試しているようだ。

 しかし、2年とも小野川湖の庄助キャンプ場からエントリー(フローターでの入水)して、あまり釣果は良くなかった。なので今回は別の場所にしたかった。候補は桧原湖のイカリ潟以外、秋元湖、曽原湖、小野川湖の庄助以外。車中で話し合った結果、以前少しだけ行ってエントリーポイントが判っている場所の、小野川湖の庄助からちょうど反対側に向かった。

 小野川湖の北東部にある湖畔のキャンプ場と桟橋。その遠浅の浜からエントリーすることになった。

 すでに明るくなりつつあったがバサーの姿は一人だけ、車が2台停まっていただけだった。静かな湖面には靄が立ちこめ、美しい光景だった。

 さっそく準備開始。陸っぱりの釣りと違ってフローターにはいろいろ準備が必要だ。とくにオレが丸儲け氏から借りるO型フローターは時間がかかる。内部のゴムチューブに空気を注入するのに手間と時間がかかるのだ。

 電動コンプレッサーを使って空気を入れる間に、防寒着を着こんでウエーダー、そしてフローティングベストを装着。さらに部分的に手動のポンプで空気注入。あとはルアーやロッド、朝食のオニギリなどをフローターに積み込み。そうそう、忘れちゃいけないのが、日焼け止め。すぐに日差しが強くなって水面からの照り返しもあるので、水上に浮かんでいると強烈に日焼けしやすいのだ。

 やっと準備ができる頃には汗だくで疲れてしまう。だが、丸儲け氏と釣り侍氏は慣れているのもあって、テキパキと準備を済ませていた。とくに、釣り侍氏のジョイクラフト製フローターはゴムボート素材を使い、特殊な注入バルブのため簡単に空気注入が終わる。タバコを吸いながら、足でポンプを軽く踏んで、ムダ話をしてる間に終わっている。手動で長い時間、汗だくになりながら押してやっと空気が入る、ゴムチューブタイプのフローターとはまったく手間のかかり方が異なる。

 準備が終わるころにオジサンがやってきて「準備は終わりましたか?」と。タイミングを見計らっていたようだ。駐車料金500円と遊漁料一人1000円を支払った。

 さて、エントリー開始。

 期待に胸を膨らませて水に浮かび、丸儲け氏から聞いた過去の実績ポイントへ向かった。

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小野川湖の北東部の桟橋に到着。
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ロッジやレンタルカヌーのある、静かなキャンプ場。

キャンプ場の名前は知らない。
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やっと準備完了。

フローターには空気を入れるのが大変なタイプと簡単なタイプがある。
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たくさん着込んで膨らんでるオレの姿。

寒いとトイレが近くなって面倒なのだ。
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朝靄の浜からエントリー。

 エントリーが5:30頃。丸儲け氏に聞いた実績ポイントである左側の奧の岸に移動して、そのブレイクライン(かけあがり)あたりを狙ったものの、まったく反応がない。岸沿いを見ながら移動しても、魚影がないのだ。

 7:00を過ぎる頃には陽が照りつけて暑い。反応がないのでダレる。とくに、岸沿いに障害物などの変化がまったくないので、集中力が持続しないのだ。

 近くに浮いていた丸儲け氏がまったくキャストしないで動かないまま、風に流されていた。浮いたまま眠っているのだ。

 バサーのボートが多かったり、遊覧船や観光ジェットボートの引き波がウザい桧原湖とは違って、このあたりは静かで釣りに集中しやすいのだが、あまりに静かすぎて眠くなる

 オレも日陰に入ってウトウトしかけていたら、ポトリとセミが落ちてきた。

 お!これが春ゼミか。

 裏磐梯周辺では春から初夏にかけて春ゼミが鳴き続ける。寿命の短い春ゼミは弱まってくると湖上の樹木から水面に落ちる。そうやって落ちた春ゼミは、スモールの格好の捕食対象なのだ。その春ゼミを模したルアーが今回、期待して2度も買って持ってきたTIEMCOのシケイダーU、通称セミルアーなのだ。

 あまりに反応がなくて飽きてきたので、落ちてきた春ゼミを救出してみたり、春ゼミが水面でバタバタもがく姿を撮影したりして遊んでいた。

 さらに、春ゼミが落ちたあとスモールが寄ってくるかと思い、しばらく離れた位置から様子を見ていた。すると、黒い大きな影がやってきて、ジュポッ!とセミを飲み込んだ。おおお!と思ったが、よく見るとコイだった。残念。

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静かな小野川湖。

あまりに反応がなくて眠くなる。
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水面に落ちてきた春ゼミ。

しばらく見ていたらコイに食われた。
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水面から救出した春ゼミ。

弱々しく、飛んで逃げたりしない。
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セミルアーと比べてみると、実物は少し小さいことが判った。

 眠いので、ヒマつぶしに春ゼミで遊んでいたら、いろいろ勉強になった。意外にポトリポトリと数多くの春ゼミが落ちてくる。そして姿がなくなっているところを見ると、バタバタ動かなくなったあとも、スモールやコイなどに食べられているらしい。水面でもがく様子は、バタバタ…ピタリ…バタバタ…ピタリ、と少しずつ弱々しく。そして一定範囲からほとんど移動しない。

 デジカメ撮影による動画はこちら→『水面でもがく春ゼミ』
 MPEG形式、320x240、1.3MB、15秒。

 この動きがセミルアーを使う際に参考になった。かな?

 10:00過ぎ、釣り侍氏や丸儲け氏の姿を探すと、岸に向かっていた。もう上がりにするつもりなのだ。オレもエントリーポイントに向かって移動し、上陸した。

 結果を聞くと、釣り侍氏が0、丸儲け氏はエントリーポイントすぐ近くで1、だった。

 まだ時間は早いが、この場所で続けても釣果は期待できないと見切った。片付けて移動

 候補ポイントだった曽原湖を偵察に。ペンションや民家が多くて、車を停めて水辺に近づける場所が少ない。それでもやっと民家の脇から見に行った。

 デジカメを車中に置いてきたので画像はないが、雰囲気は良かった。小島や立木などの障害物が多く、岸際にはシャローもある。聞いた話では、曽原湖はバサーが多くてスレているそうだが、ここならボートの引き波にジャマされず集中できそうな感じ。他の場所と違ってラージも多いのでいろいろ楽しめそうだ。「次回は曽原湖で浮いてみよう」と話して戻った。

 移動して昼メシ。毎度恒例の喜多方ラーメンの店、そしてソフトクリーム。オレはざるそば。暑くてラーメンな気分じゃなかった。

 このラーメン店の外でソフトクリームを食べながら、庭の池のイワナを観察。毎年変わらずの行動。すると、ハイキングの団体がやってきて、近くのベンチで弁当を広げはじめた。するとラーメン店の外につながれた飼い犬が「いい匂いだよ〜。なんかくれよ〜」と盛んに吼えていた。

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小野川湖はそうそうに撤収。
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いつもの店で昼メシ。
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駐車場には車が多い。

店じゃなくて、ハイキング客が車を置いていくらしい。
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イワナを見ながらソフトクリーム。

ブルーベリーソースが美味かった。
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食べ物の匂いにつられて吼えまくりの犬。

 食って休憩して、いかり潟キャンプ場に電話を入れた。キャンプ場へ渡るための船に迎えに来てもらうのだ。

 長峯の船着場へ移動。桟橋近くに大量の荷物を降ろして、車は奧の駐車場へ。桟橋の上に荷物を移したり、桟橋からよく見える水中のスモールの様子を観察していたりするうちに渡船がやってきた。

 やってきたのはキャンプ場管理人の石原さんと飼い犬の「アル」だ。

 「今年もよろしくお願いします」とあいさつして、荷物の積み込み。アルは相変わらず人なつこく、でも石原さんにべったり付きまとっていた。

 桟橋から船が出て、桧原湖の全体が見えてくると気分が高揚してくる。この瞬間、最高の気分になる。磐梯山が姿を現し、濃い緑の樹木に覆われた湖、そしてたくさんのボート。やはり桧原湖はバサーが多い。

 いかり潟キャンプ場の桟橋に着くと、荷物を降ろし、勝手知ったる場所なので自由にさせてもらった。草地には他のグループが来ていて、陸から釣りをしていた。

 いかり潟キャンプ場は半島のように突き出た場所の全体が敷地になっている。そのため周りは水辺に囲まれて、陸っぱりできるポイントは多い。キャンプ場まで車が通行できる道はなく、裏手にハイキングコースしかないため、人の出入りや荷物の運搬はすべて渡船が必要なのだ。外界と遮断されたエリアなのでとても静かで自然が濃い。

 ロッジに必要なだけの荷物を移し、休憩。そのまま丸儲け氏と釣り侍氏は昼寝へ。オレは荷物を整理したあと、フローターの準備に時間がかかるので空気入れ作業。車がないから電動ポンプは使えないのでずっと手動。ジリジリと夏のような太陽が照りつける中、ダブルアクションポンプを押し引きしていると、倒れてしまいそうになる。

 汗だくになってやっと空気が入ったので、ロッジに戻って昼寝した。

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長峯の船着場。

荷物を降ろして、キャンプ場の渡船を待つ。
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いかり潟キャンプ場の飼い犬「アル」。

一緒に渡船でやってきた。
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人なつこく、どんな人でも大丈夫。
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んでもやっぱり、飼い主にべったり。
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出船。

気分が盛り上がる。
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磐梯山が美しく見える。
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今年もバサーのボートが多い。
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5分も経たないうちにキャンプ場に到着。
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管理人さんとアルはいつも仲良し。
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フローターに空気入れたり、荷物片付けたり。

暑くて倒れそう。
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準備ができたらロッジで昼寝。

床は絨毯敷き。

 両氏が戻ってきて、桟橋からスモールが釣れたとか。それを聞いて、オレも起き出して、桟橋へ向かった。代わりに2人はロッジで昼寝。

 ここの桟橋付近は、入り江になって波が少ないのとシャローがあるせいか、魚影が濃い。オレがはじめて釣ったスモールもこの桟橋からだった。

 桟橋からすぐ目の前の底に、スモールの姿が見えた。ネストを守っているオスのようだった。あまりに岸と桟橋から近いので、これじゃ狙われまくって可哀相。というか、人の出入りが多いこんな場所に卵産むなよ。

 ネストのやつは狙わないことにしてるので、桟橋から対岸の岸へセミルアーをキャストして、樹木の下あたりでチョンチョン、パタパタってやってると、パシュ!っと水中に沈んだ。キター!

 念願のセミルアーでスモールか?と思ったら、ギルだった。
  ガックシ。_| ̄|○

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桟橋から釣り。

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木の下あたりにセミルーをキャスト。

チョンチョンやってたら水中に消えた!
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残念ながら、ギルだった。

それもデカい。

 桟橋は船の出入りがあったので、近くの岸へ移動。桧原湖は溶岩地帯(磐梯山の噴火によってできた湖)なのであちこち岩ばかりで、根がかりが多くて岸からは釣りにくい。

 岸からいろいろ試すが、やはり根がかり対策のワーム。小さめのグラブにネイルシンカーを埋め込んで、底をゆっくりとズル引き。

 すると、ククンとごく小さなアタリ。またゆっくり引くと、クククンッ。軽くアワセると、グググっと引き込まれた。

 今度こそっスモール!と思って上げると、ラージのコバスだった。
  ガックシ。_| ̄|○

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残念ながらラージ。

 続いて、アタリをアワセると、グイグイ引かれて、これは!と思って寄せるとスモール。ついに釣れた!と思ったが、寄せてる途中でバレてしまった
  ガックシ。_| ̄|○

 しつこくやって、またもアタリをアワセて、グイグイ引かれて、寄せて上げて、やっとスモールが釣れた〜。かなり小さいけど…。

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やっとスモールが釣れたけど。

小さいって。

 んで、さらに、続けて、釣れたのは26cm、レギュラーサイズのスモール

 遠浅になっているシャローの岸から釣ったので、スモール独特の下へ下へ引き込まれるようなヒキは味わえなかった。 とりあえずこれで陸っぱりは満足。

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やっとレギュラーサイズが釣れた。

計測のために桟橋へ運んだ。
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使ったワームはこれ。ゲリヤマのグラブ。

けっこう小さい。
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グラブにタングステン・ネイルシンカーを埋め込んで、底をズル引き。

これなら根がかりなく底を狙える。

 このあと、両氏がロッジから出てきたので、そろそろ浮く準備をしようということになった。タックルを整理して、フローターに積み込む準備。

 すでに16:00過ぎくらいだったが、まだまだ陽は高く、かなり暑い。防寒着やウェーダーを着込むと、暑くてサウナにいるかのようだった。それでも夕暮れになれば一気に寒くなるから、上着をフローターのポケットに積み込んだ。そしてあまりの暑さに、水に入ればマシになるだろうと、急いでエントリーした。

  このとき、フローターの空気が減っていたことに気がついた。陽射しを直接受けて膨らんでいたチューブが、水に入って冷えて、内部の空気が収縮したのだ。フローターの浮力が減って、水に濡れる位置が少しだけ高くなった。

 この浸水位置の上昇が、あとで大きなトラブルの原因になるとは、この時点ではまったく思いもよらなかった。
(去年も似たような失敗してるんだから気づけよ)

 エントリーして、とりあえずイカリ潟を目指した。この頃になるとボートの数が減る。レンタルボートの返却時間がたいてい17:00だからだ。夕暮れの時間に湖上に出ているはのレンタルじゃない個人所有の高級なバスボートくらい。

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ボートの数が減った夕方、やっと桧原湖で浮いた。

これからが楽しい時間。

 ボートの数が減り、陽が傾きはじめてからが勝負の時間だ。これ以外の時間は、まったくどうでもいい。この時間の釣行のために、ここに来ているのだ。

 夕暮れ特有の微風が出て、水面に小さな波が出た。これもいい感じ。神経質で警戒心が強いスモールは、強い陽射しを嫌うだけでなく、静かな水面では辺りの気配を感じ取ってしまう。だからボートが減ったり、水面に波があったほうが、スモールの警戒心が薄れて釣りやすいのだ。

 イカリ潟方面に移動しながら、島々の岸に沿って、ワームをキャスト。去年7月にボート釣行で数釣りを楽しんだ、ダウンショット&チューブワームのリグだ。去年同様に、沖目から岸へキャストし、岸際から2m付近に落としてシェイク。ラージのように岸際ギリギリじゃなくて、少し水深のある底を回遊することが多いスモールの性癖を信じた。

 しかしまったく反応がない。去年とは違い、目的地があって時間も限られていて気持ちが急いでしまい、底をしっかり感じて集中する釣りができなかったのかもしれない。とにかく、深場を狙うための実績リグが通用しない。

 こうなったら一点集中のダウンショットの釣りは止めて、セミルアーでトップだけを狙うことに方針変換した。この時間ならトップにも反応してくれるだろう。

 春ゼミが落ちてきそうな、上方に樹木が覆いかぶさっているようなところ。セミがもがいているのが判る、少し奥まって静かな水面を探して、セミルアーをキャストした。

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セミルアーに期待を込めて、ポイントを探す。

左奥は丸儲け氏の浮き。

 大きな岩の陰や冠水植物の近くへセミルアーを遠投して、遠くから様子をうかがう。チョンチョン…(ポーズ)…チョンチョンチョン…みたいな感じで、ルアーが移動しないように軽く動かし、反応がなければパタパタパタと羽が左右に揺れながら巻いて来る。オレが買ったセミルアーは「相羽スモール」という黄色っぽいカラーなので、薄暗いところでも遠くからよく見える。

 小島の奥まったところにセミルアーが落ちた。移動させないように、チョンチョンと動かして、じっと見ていたら・・・

 ポシュッ!という小さな音とともにセミルアーが消えた。おおお?

 ラインスラッグ(糸の弛み)を取って軽く引くと、グググッ!と重い感じ。キター!!

 そのままリールを巻きながら、グイグイッとロッドをあおると、ググン!ググググンッ!と下へ潜るようなヒキ。これはまさしくスモールだ。

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やっとセミルアーでスモールが釣れた。

うれしー。
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がっちりフッキングしてます。

セミルアー、いい仕事してます。

これじゃバレようがないけど、針外すのが大変。
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サイズは30cm弱くらい。

フローターの上では測りにくい。

 念願のセミルアーでスモールが釣れて最高にうれしい瞬間だった。興奮して釣り上げたあともドキドキしていた。

 フローターの釣りでは、ふんばってロッドをあおってフッキングさせることができないので、何度もグイグイやってフックをアゴに貫通させることでバラしを減らすのだが、このセミルアーは普通に巻いてくるだけで水面から上げてしまった。トレブルフック(3本針)が3つも付いているから、針の数は9本もある。一箇所が刺されば、魚が暴れるうちに他の針も刺さっていく。極端にバラしにくい構造なのだ。

 ただし、その9本針のせいで、針を外してあげるのがとても面倒だった。ルアーを持ちながら、ペンチで1本ずつ針を外していくのだが、スモールが暴れる度に外した針がまた刺さってしまう。これがボートなら釣ったスモールを床に置いて作業できるのだが、フローターは魚体の置き場所が限られるので、ズリ落ちたりして本当に面倒臭い。

 その上、ルアーの針がフローターのチューブに刺さってパンクするかもしれないから危険で、ルアーをフローターに近づけないようにしながら作業する必要がある。

 興奮させてくれて遊んでくれたスモールなのだから、丁寧に針を外して優しくリリースしてあげたい。だから余計に大変なのだ。

 続いて、イカリ潟方面に向かって移動しながら、アヤシそうなポイントへセミルアーを投げ込んでいく。一箇所に止めて、少し待って様子見するので、あちこちキャストしていると、あまり移動できない。

 それでも、また静かでアヤシそうな水面にセミルアーをキャストして、チョンチョンやってると・・・

 ジュポッ!ググン!グイグイィ!

 キタヨー!


 上げてみると、虎柄の模様だ。これはうれしい。スモールは婚姻色だか一定サイズ以上だかは、虎柄のような縞模様になる。今までは小さいサイズしか釣ってなかったから、ただの金色スモールだったのが、はじめてタイガースモールが釣れた。

 が、画像では頭部しか縞模様が見えない。釣ったときは体も柄があったはず。保護色か何かで、水から上げると色が変わるのか?

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セミルアーで2尾目。

縞模様 があったはずなのに…。

 そして、このあと、アクシデントが発生した。

 釣れたポイントの撮影をしようと、フローティングベストのポケットからデジカメを取り出したら、デジカメからタラタラ〜と水がしたたり落ちた

 え?デジカメに水?ええええ?

 ポケットの中を見ると、水が溜まっていた。その水たまりにデジカメが浸かっていたのだ。

 理由は、一瞬で思い当たった。去年と似たような失敗だ。

 オレはフローティングベストの前ポケットにデジカメを入れていた。片手でもすぐに取り出せる場所だから。そして万一の水しぶきや横転による水没に備えて、ジップロックの袋にデジカメを入れていた。

 だが、セミルアーで釣れた興奮と、またすぐに次が釣れそうな雰囲気から、ジップロックの袋にしっかりと入れずに、適当にデジカメをポケットに入れた。撮影してすぐに針を外してリリースする一連の作業に忙しかったのだ。デジカメはジップロックのチャックの口に入らず、横をすり抜けてポケットの底に埋まっていた。この状態でしばらくフィンを漕いでフローターを移動させた。

 今朝まではこれで問題なかった。しかし、フローターの空気が減って水に浸かっている位置が高くなったせいで、フローティングベストのポケットまで濡れるようになっていた。ベストには浮力材のスポンジが入っていて、そのスポンジが水をぐんぐん吸って、着ている圧力によってポケット側の生地へ水を送りこんでいた。

 ポケットの生地はナイロンなので吸水はしないが、少しずつスポンジから押されて浸入した水が、外に抜けずに底に溜まっていた。そのせいでポケットの中には水たまりができていて、そんな水たまりにデジカメが浸かっていたわけだ。

 去年のフローター釣行では、土曜午前の小野川湖でデジカメが水没した。そのときは、ベスト背中のポケットへジップロックに入れたままの状態だったのに、濡れて使えなくなった。

 同じように背中側のスポンジから進入した水がポケットの底に水たまりを作っていて、横になっていたジップロックのチャックの隅の隙間から少しずつ浸水。袋に入った水はまったく抜けることなく、ジップロックに溜まっていった。そんな中にデジカメを入れていたから、背中から取り出したジップロックの袋は「ジップロックを使ったデジカメの漬物」みたいな状態だった。

 去年のときは、まったくレンズも写らずAFも効かない状態だったが、3日ほど乾燥させておいたら、見事に復活して使えるようになった。

 今回は、濡れたデジカメをすぐに電源入れて、撮影してみた。本当は、濡れた電子機器は、電源を入れると壊れる可能性が格段に高くなるそうだが、ついやってしまった。

 電源ONはできたが、液晶表示にノイズのような横線が入り、1枚撮影すると勝手に電源が切れてしまった。こりゃ、まずい感じ。もうダメだ。デジカメが壊れた

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水没直後のデジカメで撮った画像。

Fベストのポケットの中が濡れてるよ〜の図。

左の光っているのが水たまり。目薬の容器が浮いている。

 デジカメが使用不能になったショックは去年経験済みなので大したことなかったが、去年と同じような失敗をして学習能力のなさが露呈した自分のアホさ加減がショックだった。

 去年は、濡れやすい背中に入れたことと、ジップロックのチャックが確実に閉まってなく、袋が横向きになっていたことが原因。

 今年は、フローターの空気が足りなかったことと、ジップロックに入れなかったことが原因。

 つい2週前に、目の前で友人のデジカメが水没した瞬間を目の当たりにしているってのに、このていたらく。

 まあでも、水辺ばかりにいる釣りしているわけだから、釣りに携帯するデジカメは常に水没の危険に晒されているわけで、落としたり濡れたりするのはいつだって有り得ることなのだ。だから、前から防水のデジカメが欲しかった。

 2週前に水底まで落とした友人から復活しないと報告を受けたあと、オレが前から狙っていた防水デジカメ「PENTAX Optio WP」を薦めた。完全防水なのに、コンパクトでスマートなデジカメだ。すると彼はすぐにそのデジカメを買って、これはイイ!と愛用しはじめた。それがまた、オレとしては悔しかったりする。薦めたクセに。

 でも撮影できないわけじゃない。今回は予備のデジカメを持って来ていたのだ。普段はMP3プレーヤーとして使っているD-snap SV-AV35。デジカメ機能は200万画素のショボイものだが、とりあえずの撮影はできる。

 しかし、D-snapはロッジの中だ。取りに戻るには時間がもったいない。この最高の時間を逃したくない。

 このあと、イカリ潟の入り口あたりで、セミルアーで1尾追加。(そういうわけで、こいつの画像はナシ)

 すると、直後に、ポツリポツリと雨が降り出した。わりと大粒の雨で夕立になりそうな雰囲気だった。ちょうど着ていたウインドブレーカーのフードをかぶり、雨の様子見。

 丸儲け氏と釣り侍氏の姿が見え、丸儲け氏がカッパを取りに戻ると言って退却していったあと、釣り侍氏と話していたら、雨が止んだ。一時的な通り雨だったらしい。

 しかしいつまた降り出すか、もしかしたら大雨になるかもとの不安で、イカリ潟入り口からUターンすることにした。戻り方向に向かって移動。少しでもキャンプ場に近いほうが安心できるからだ。

 途中で、釣り侍氏が上陸していた。よく見ると、フローターのまま岩の上に立って、上着を着ていた。桧原湖の島は岩ばかりなので、フローターが上陸しやすい遠浅の岸が非常に少ない。だから急なトイレの対処に困る。だが、ちょうど段のようになった岩だったので、そこに立てばフローターから出ることができる。というわけで、フローターから出て、陸地に上がってトイレ。そして上着を着込んで、再出発。

 戻り方向ではセミルアーに反応がなかった。アヤシそうなポイントは3人でつぶしてしまったのかもしれない。スモールは警戒心が強く賢いから、一度「なんか違うぞ」と見切られたら、同じルアーには反応しないのかも。

 夕闇が近づいていた。この時間からはノイジープラグの出番だ。ベイトロッドを用意して、まずはミニバドをキャスト。カコンカコンと音だけ。反応がない。続いて、ジッターバグをキャストし続けた。しかし、これも反応なし。

 去年であれば、夕暮れから夜までの間に、どこに投げてもジュポッ!という音とともにジッターバグにバイトがあったのだが、このときは反応がなかった。

 あちこちでカゲロウやガみたいな羽虫が表層付近を飛び回っていて、その羽虫を狙って小さい魚が表層にライズしていた。その中でジッターバグを引いてくるポコポコポコッという音が鳴っているだけ。

 なんかおかしい。ジッターバグが効かない。

 次第にラインが見えないくらい暗くなってきた。帰り道に迷うと怖いので、キャンプ場の灯りが見える場所まで移動。真っ暗な湖面に浮いているのは不安になるが、戻るべき場所の灯りが見えて、付近に仲間がいる気配があるだけでも安心して続けられる。はじめは夜の浮きがとても怖かったが、いつのまにか慣れた。

 真っ暗な水面に向かってひたすらジッターバグをキャスト。しかし、出ない。おかしい。

 月明かりのおかげでかろうじて見えた、丸儲け氏らしい姿に声をかけると、向かいの小さい島のまわりで反応が出ているらしい。その場所でやらせてもらうと、確かにパシュッ!と出た。しかしノらない(フッキングしない)。ジッターバグに反応しているスモールが小さいのか、別の魚が反応しているのか。

 もう21:00くらいだった。しばらく試してもダメなので、キャンプ場のほうに向かうと2人も戻っていたので、同じように浅瀬から上陸した。今日はこれで納竿

 どっぷり疲れた。楽しみにしていた「ジッターバグ祭り」がなかったのが残念だ。

 片付けをして、食事の用意。コンビニで買ったレトルトご飯やレトルトカレーを鍋で暖め。昼は暑いから生ものは危険だし、料理してる時間はないので、毎回レトルトということになっている。準備の間に管理人さんから薪を買って、焚き火をはじめた。火起こし役は丸儲け氏。パーコレーターでコーヒー淹れ役は釣り侍氏、オレは大きな鍋を探してきてガスクッカーで湯せん担当。

photo-050618_212420
ロッジ前でメシの用意しながら焚き火。

火を見ていると、なぜか落ち着く。

D-snapで撮影。

 蚊に刺されながらも、外で焚き火を囲んでいるのは楽しい。そして今日の釣果を反省したり、釣れない理由を話し合ったり。

 残った薪をすべて燃やしつくし、鍋やクッカーを片付け、オレは先にロッジに入って寝床の用意。電灯が点いていたので寝袋にもぐろうと思ったが、暑くて寝袋すらいらない、暑苦しい夜だった。

 たぶんこの時点で23:00くらいだったと思う。すぐあとで2人がロッジに入ってきたような音がしたが、そのあとのことは覚えていない。でもなんとなく、翌朝は早起きできないような気がしていた。

【今日の釣果】
小野川湖…0尾
 桧原湖ラージ…1尾
桧原湖スモール…5尾
 計…6尾

□⇒翌日へ⇒□


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