snufとコラールと犬の話

犬連れキャンプのときのコラール(2004年5月)

コラールのこと

 気づかなかった人もいるかもしれないが、TOPページの「いろいろコラール」はリロード(再読み込み)する度に違う画像に変化するようになっている。まさしく自己満足な遊びだが、これはこれで楽しい遊びだと思っている。画像が変化することに気づかなかった人が、どこかのページを見てまたTOPページに戻ってきたときに、ふとコラール画像が違っているのに気づいて「あれれ?」と驚いて楽しんでもらえれば幸いである。

 「コラール」とは、仲良しの友人宅で飼っている犬の名前だ。

 生まれ:2002年5月23日
 性別:メス
 犬種:ゴールデン・レトリバー
 苦手なこと:水に入ること

 オレ宅で飼っているわけでもないし、オレが躾けたわけでもない。もちろんオレが名付け親だったわけでもない。しかし、コラールが友人宅で飼われることになるきっかけに大きくオレが関わっているのだ。

 遡れば、オレは以前からアウトドアの遊びが好きで、たまに月刊誌「BE-PAL」という雑誌を読んでいた。多くは立ち読みなのだが、その雑誌に連載を持っていた野田知佑さんの本を買って読むようになった。野田さんは愛犬ガクと世界中の川をカヌーで旅している人だ(今となってはガクは亡くなっている)。

 野田さんとガクの話を読めば読むほど、犬に対する興味が生まれた。そのうち、いつかカナディアンカヌーに犬を乗せて静かな湖面に浮かびたいと思ったほどだ。

 そして、同じように「BE-PAL」に連載を持っていたシェルパ斉藤(斉藤政喜)さんの本を買って読むようになった。ヒッチハイクやトラクターでスローな旅を実践しているバックパッカーだ。斉藤さんの単行本『犬連れバックパッカー』を読むうち、犬との旅の楽しさに強い憧れを抱いた。

 ある日、犬好きで読書嫌いの友人にこの『犬連れバックパッカー』を薦めた。本を読むことが苦手なのに、黙々と読み進み、最後には「ゴールデンレトリバーを飼いたい!」と心から思ったそうだ。斉藤さんの愛犬「ニホ」のような犬を探す!と心に決めたそうだ。

 こんな風に書くと、この友人がほんの気まぐれでゴールデンレトリバーを求めたように思われるのだが、その思い入れの深さは尋常ではなかった。前に犬を飼っていたせいもあって、さらに犬やレトリバーに関するいろんな本を読み、いろんなところへ行って、知識をつけていった。その上で両親を説き伏せてゴールデンレトリバーを飼うようになったのだ。それもペットショップの売れ残りだった仔犬を…。

 オレと友人とコラールはのちに、実物のニホとも出会っている。オレはそのとき、持参した『犬連れバックパッカー』にシェルパ斉藤さんの実筆サインをいただいた。

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西湖の犬連れキャンプでシェルパ斉藤氏から持参本にサインを貰った。そしてニホたちとコラールが対面。


 残念ながら、今となってはニホは亡くなっている。いつか必ずニホの墓参りがしたいと思っているのだが、ニホの墓の場所が見つけられないで困っている。八ヶ岳南麓にある斉藤さんの自宅の敷地内にあるそうで、斉藤さん宅の住所がわからない。勝手に個人宅へずかずか訪れるようなことはマズいとは思うが、斉藤さん一家やその近隣の方々には迷惑をかけず、そっと静かに、ニホの墓へあいさつに行きたい。もちろんコラールも連れて。

 そんな感じで、コラールが飼われるようになったきっかけを、オレが与えたわけなのだ。

 そして何より、オレもコラールが大好きになってしまったのだ。だからオレのTOPページにはコラールが登場している。それが理由だ。

2005/05/24



犬が苦手だったこと

 オレがコラールと遊んでいる姿を見て、オレの幼少のころを知っている幼馴染は驚くだろう。実は、オレは小さいころ、犬が苦手だった。

 大学生になってはじめて犬の散歩の経験をした。そのくらい、犬とは縁がなかった。実家では動物を飼っていなかったのだ。

 保育園から中学生くらいまでよく遊びに行っていた近所の幼馴染の家に、雑種(最近の言い方ではmix)の白い犬がいた。しかしそいつはいつも吼えていて、オレが近づくと警戒して唸り声まで上げた。

  さらに、記憶が曖昧なくらい幼少のとき、親類宅で友人が犬に噛まれて大怪我をした現場を目撃した。だからその頃のオレは、犬に対して常に脅えるようになっていた。オレが脅える姿を見て、犬のほうもオレに対して警戒心を持っていたのかもしれない。

 そんなことがあってから、子供のころはずっと犬が苦手だった。近くに静かで大人しくて、オレを警戒しないで甘えてくるような犬と出会わなかったということもある。

 大学生になって上京してから、当時の仲良しの友人と一緒にその家の犬(mix)を散歩させた。リードを持って歩いたのはそれがはじめてだったと思う。これが、静かで大人しくて、オレを警戒しないで甘えてくる犬とのはじめての出会いだった。この犬のおかげで、この頃から犬に対する苦手意識は消えてニュートラルな気持ちになった。吼えない犬なら触れることができるようになった。

 そのくらい、犬とは縁がなかったのだ。だが、前述のガクやニホの話を読んで、犬は賢くたくましく、そして可愛いことに気がついた。

 コラールと出会って、犬に対する見方ががらっと変わった。コラールのウンチを拾ったり、一緒に寝たり遊びに出かけたり、シャンプーを手伝ったりするようになり、オレはいつのまにか犬好きになっていた。

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オレの愛車に乗って一緒にお出かけコラール。


 今では怖い顔した大型犬でも、尻尾の振り方や雰囲気から大丈夫と判断して近寄れるようになった。もちろん大人しい犬なら喜んで撫でたり、ベロベロと舐めさせたりさせている。

 コラールと出会って良かったと思う。犬の楽しさや可愛さがよくわかるようになった。

2005/05/25



コラールを泳がせたいこと

 コラールはゴールデンレトリバーという犬種だ。オレは見たことないが血統書もあるそうだ。レトリバーは「retrieve」という単語からきている。「retrieve」は回復する、取り返すという意味で、猟犬が獲物を捜して取って来るという意味も持っている。この場合の獲物とはガンやカモなどの水鳥のことで、猟師が銃で仕留めた水鳥を水辺から回収するのがレトリバーたちの仕事だった。

 だからレトリバーは泳ぐことが得意なのだそうな。そのうえ、長毛種の犬たちは暑くなると水に入って冷やすことを喜ぶそうだ。

 しかし、コラールは水に入ることが苦手だ。湖の水辺にいても絶対に水に入ろうとはしない。強引に押して水に浸けようとしても、力いっぱい反発して逃げてしまう。海に連れていっても砂浜から波打ち際を眺めるだけで、一定の距離をとってそれ以上は近寄ろうとはしなかったそうだ。

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かろうじて波打ち際まで連れてきたが、これ以上は進まなかった。臆病で怖がりなコラール。


 コラールは本当にレトリバーなのだろうか。顔つきや体の毛の長さを見ても、柴犬とのmixではないかと疑いたくなる。血統書に偽りはないのだろうか。飼い主はコラールはコラールだから、犬種はどうでもいいと言っている。だが、オレは疑惑を捨てきれずにいる。

 前にニホやシェルパ斉藤さん一家と出会ったのは、富士五湖の西湖にあるキャンプ場で催された「犬連れキャンプ」のイベントだった。その中で、愛犬と一緒にカヌーに乗ってみようという企画があった。オレはこの企画があったから喜んで参加した。もちろんニホや斉藤さんにも会いたかったが。

 その西湖湖畔でのカヌー体験のとき、コラールには大型犬用のフローティングベストを着せて、岩場からカヌーへ乗るよう促したのだが、必死で逃げ回った。だから無理やり抱えてカヌーに乗せた。少しの間湖上にいたのだが、コラールはカヌーの中でじっとしていた。あまり楽しそうではなかった。

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西湖ではじめて水の上に浮かんだコラール。カヌーの中で動こうとしなかった。


 そのあと少しして、コラールが水に慣れるよう、犬用の温泉施設に連れて行った。

 東京・台場にある「大江戸温泉物語」という温泉テーマパークに隣接した「綱吉の湯」という施設だ。調べてみると温水プールもあることがわかった。実はコラールは「股関節形成不全」という遺伝疾患を抱えている。その治療の意味も兼ねて、温水プール体験をさせた。

 ここで「股関節形成不全」について。股関節が正常でない形状に変形する病気だ。歩くときに腰を左右に振りながら進んだりするようになる。悪くすると、痛みを伴ったり、歩くことが不便になってくる。

  「繁殖」の問題から生じた遺伝疾患なのだそうだが、大型犬の場合は成長期の急激な成長のせいで、骨と筋肉の成長バランスがくずれて骨の成長スピードに筋肉の成長が追いつかなくなり、さらに食事内容などでバランスの崩れに拍車がかかると生じる「後天性疾患」の場合もあるそうだ。

 さらに日本では股関節形成不全のレトリバーの割合が高い。それは、日本でレトリバーの人気が出て急激に増えたことに関係している。欧米では股関節形成不全でないと証明された犬だけをブリーディングするのが常識で、股関節形成不全と診断された犬は欧米では商品価値がない。

  しかし日本のブリーダーは股関節形成不全の有無はまったく気にしなかったため、欧米で商品価値のない犬を買って日本で売りさばいたという日本のドッグビジネスの実情があるらしい。

 プールの話に戻ると、おもちゃで遊ぶことが好きな犬なら、水が苦手でも、おもちゃで誘えばたいていは自ら水に入るようになるという。しかしコラールは、無理やり水に入れない限りは入らない。そしてインストラクターさんが支えながらでないと泳げない。

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綱吉の湯の温水プールで泳いだコラール。ずっと悲しそうな顔をしていた。


 2度目には少しだけの距離を自分だけで泳ぐようになった。それでも進行方向で飼い主が待って呼び続けて、やっと壁まで到着したような感じだった。

 温水プールで泳ぐ訓練をして、温泉に入って体を温めて、シャワーで体を洗って、そんな間もずっとコラールは楽しそうな顔をしなかった。そのうち、なんだか不憫に思えてきた。

 コラールは運動もあまり得意ではないし、少し走るだけで疲れてしまう。運動神経はあまり良くない。エサを落としてもすぐに匂いで見つけられないくらい鼻もあやしい。どうも鈍い犬らしい。

 ただし、食べ物に対する執着心はだれにも負けないくらい強い。何があっても食事をしている人間に近づくし、スキあれば食べてしまう。普段はまったくお手もしないが、エサをもらえるときだけは「お手、おかわり、伏せ」を行う。それもヨダレを垂らしながら。

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人間が食事中の間はぴったり寄って待機。真剣な眼差し。おこぼれを待っているのだ。食事が終わると寂しそうな顔。


 オレとしては、水辺で一緒に遊んだり喜んでカヌーに乗るような犬が良かった。しかし、いまのコラールの鈍さ加減と臆病なところを見ていると、ただ寝てばかりで大人しいコラールがそれはそれで愛らしくてカワイイやつに思えてくるのが不思議だ。

2005/05/26



おまけムービー

 コラールが近くで寝ていると、かなりうるさい。

 寝ながらため息ついたり、寝言でなにか唸ったり、夢を見ているようで寝ながら動いたりする。

 そんなコラールの寝姿の動画撮影に成功したので公開しよう。

寝ぼけながら顔をかいて、はっとして起きた。何の夢を見ていたのだろう。


2005/05/26


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